『トレマーズ5・ブラッドライン』はトレマーズシリーズの最新作である。
私はこのシリーズが好きで全て観ているのだが、今作もトレマーズらしくコメディーを散りばめたモンスター映画に仕上がっていて安心した(自分はブルーレイディスクを購入)。
トレマーズに出て来る敵はグラボイズと呼ばれる地中を高速移動するモグラに似た化け物で、さながら地上版ジョーズの様な存在だ。
グラボイズは目が退化している代わりに音に対して非常に敏感な性質を持ち、次の2で登場する小型の二足歩行生物シュリーカーは熱センサーを使って獲物を追って来る。
更に3ではアスブラスターに進化し、体内のガスに火を付けて空を滑空しながら襲って来るのだから始末が悪い。
最新作はこれまでと違ってアフリカに舞台を移し、独自の進化を果たした凶悪なグラボイズ達が相手だ。
この新たなグラボイズは非常に残忍な性格の持ち主で、ユニークな登場人物たちを空気も読まずに容赦なく始末していく。
(1・2・3と違い、怪物について詳細な分析を行う描写が無いのは少し物足りなかった)
対するはシリーズの代名詞とも言えるガンマニア兼サバイバリストのバート・ガンマーその人であり、今作でもファン納得の行動力を発揮してくれる。
歳を重ねても信念を曲げない不屈のバートを演じるマイケル・グロス氏は2016年現在で68歳のはずだが、一作目から変わらぬその役作りには脱帽する他ない。
トレマーズ5を観た人なら分かってくれると思うが、バートファンにとってこれはちょっと感動ものだ。
時代の移り変わりもあり旧作と比べて若干雰囲気の異なる印象の本作も、バートのおかげでちゃんとトレマーズなんだと感じさせてくれる。
かつて3・4のメイキング映像では製作陣が低予算でやり繰りする苦労を語っているが、今作は大作とは呼べないまでもアフリカロケを敢行したり、それなりの見栄えがするCGを使用したりと頑張っている。
バートを筆頭に夢見る中年からセクシーな未亡人まで個性的でアクの強いキャラクターらが話を紡いでゆくのだが、確かに近年流行りのスタイリッシュなシーンは殆どなく、人によっては一昔前の様な泥臭い演出が随所に目立つ古臭さを感じるかも知れない。
また、エイリアン・プレデター・ジュラシックパークを露骨にオマージュしたシーンも少々鼻に付く。
ただ、これは敢えての演出だろうから、そこは割り切って楽しんだ方が良い。
全体的なクオリティーから言うと中の上くらいの映画かも知れないが、トレマーズシリーズのファン、そして我らがバートを愛する人なら観て損はない作品である。
PR