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創作から興味ある事柄まで気まぐれに綴ります
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今回語りたいのは1984年製作の映画「ゴジラ」であるが、私は特撮映画が好きではあるものの詳しいわけではない。

改めて鑑賞し直してみた率直な感想を述べるにすぎないので、そこはご容赦いただきたい。

また、なるべくネタバレを避けて書くのも、いつも通りである。

「シン・ゴジラ」が公開された時によく言われた事だが、確かにこの1984年版ゴジラ(以下84ゴジラと略)とシン・ゴジラは似た部分があり、両者ともに日本政府内の対応に焦点を当てつつ物語が進んでいく。

自分が84ゴジラを観たのは随分久し振りだったので、正直ここまでだったのかと驚かされた。

第一作目のゴジラから数十年後に再びゴジラが現れるという設定はシリーズを仕切り直す度に踏襲される事になるが、実際にゴジラが現れたらどう対処するか真剣に取り組んだのは本作とシン・ゴジラが双璧だろう。

政府側の主人公は小林桂樹演じる三田村清輝総理大臣、得られた手掛かりを元に科学的対処法を模索する側の主人公は田中健演じる牧吾郎記者だが、後者はマスコミの立場で林田博士(演:夏木陽介)と連携する格好だ。

三田村総理は未曾有の国難に力を尽くして取り組む真摯な立場ではあるが、ゴジラに加えて大国の核兵器使用も阻止せねばならない遊びのない役回りである。

一方の牧記者は、職業的好奇心と社会的道義心を併せ持つ人物で、戦闘に依らないゴジラ対策を第三者視点で観客に見せる役割も持つ。

田中健氏は長所と短所を程よく持つこの人物を好演していて、ゴジラシリーズ屈指?の自然体な主人公になっていた。

また、新人時代の沢口靖子演じる奥村尚子との淡い関係も割と丁寧に描かれている。

ゴジラ映画誕生から30周年の記念作品だけあって特撮シーンもかなり気合いが入っており、ご存知スーパーXとゴジラの対決も見応え十分であった。

こうしてあるべき要素がちゃんとあり、どの場面もきちんと作られているにもかかわらず、84ゴジラの評価は「よく出来ているんだけれど、いかんせん地味な印象」という少々微妙なニュアンスが多い。

もっとも、これは怪獣映画を現実的に描く事を否定する訳ではなく、そのリアルな演出に負けないインパクトを怪獣側に持たせないと面白く感じて貰えないという事だと思うのだ。

この点を察したのか、シン・ゴジラはかなり現実に即したストーリーを展開する一方で、独特の演出や余りある意外性をゴジラに持たせる事で観客を惹きつけている(それでも中盤以降は中弛み感が漂ってくるのだが)。

とは言え、久方ぶりに観た84ゴジラは初見の時よりもずっと楽しめたし、ちゃんと頑張って作ってるんだなぁと感心してしまった。

ゴジラ映画として王道中の王道でありながら、正統な作りゆえにどこか異質感のある作品なのは、決して悪い事ではないだろう。


最後に、惜しいと感じた点を一つ。

冒頭で船の中を舞台にした場面があるのだが、ここに登場した巨大◯◯◯◯のシーンがチープだったせいで、初見のとき「大丈夫かこの映画」と心配になったのを思い出した。

◯◯◯◯のプロップ(小道具)に動きを伴うギミックがないため、襲われているはずなのに演者が掴んで揺らしている様にしか見えないのだ。

ここは誠に惜しい部分で、これがもっと説得力のある描写なら、84ゴジラは弱点らしい弱点のない作品になった気がする。

ミニチュアで組まれたセットの中を着ぐるみが歩く映画に過度な説得力を求めるのもお門違いかと思うが、全体として大変良く出来ているだけに残念だった次第である。



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