創作から興味ある事柄まで気まぐれに綴ります
気がつけば2022年もあと一ヶ月で終わりとは、いつもながら何と時の経つのが早く感じられる事だろう。
新型コロナウイルスが再度勢いづいている今日この頃ではあるが、何とか凌いでいきたい所である。 さて今回紹介する横溝正史シリーズの『八つ墓村』は、1978年に全5回でテレビ放映された作品である。 古谷一行氏が名探偵・金田一耕助に扮する、お馴染みの人気シリーズの一作だ。 というのも、原作の小説は主人公の田治見辰弥(寺田辰弥)を通して描かれる怪奇ロマンといった様相を呈しているので、他の代表作と違い金田一耕助の出番は限定的。 物語の狂言回しでもある彼の出番が少ないと金田一物としての魅力は薄まってしまう為、原作のままだと少々具合が悪いという事だろう。 それでも他の映像作品に比べれば「八つ墓村」は主人公の描写に比重が置かれており、TV版の辰弥役である荻島眞一(荻島真一)氏は不幸な生い立ちながら逞しく生きる青年を力強く演じていた。 監督の池広一夫氏は市川雷蔵の眠狂四郎シリーズや勝新太郎の座頭市シリーズなど数々の映画を手掛けた一方、その後テレビドラマに舞台を移して精力的に活躍された実力者だ(御年93歳でご健在である)。 八つ墓村に限った事ではないと思うが、話題になった映画からそれほど間を置かずに同作品をドラマ化するのは色々難しいと思う。 視聴者の期待を考慮すると金田一耕助が余り出て来ない怪奇ロマンたる原作の通りにはやれないし、さりとてぶっ飛んだ内容に舵を切った映画版と同じ方向性では、制作サイド的にも監督のプライド的にも面白くないだろうからだ。 当然、スケジュールと予算の制約もある。 八つ墓村は物語を取り巻く設定こそ過剰なまでにおどろおどろしいが、肝心のミステリーとしての要素が他の原作より希薄で、例え金田一耕助の場面を増やしたとしても本領発揮させにくい構造になっているのが厄介だ。 結果的には原作に対して取捨選択と追加が行われ、そこに池広監督の味付けがなされた作品となった。 個人的な感想としては、このテレビシリーズの流れを受けつつも個性的な八つ墓になったのではとの印象で、特にエピローグは原作や他の映像作品とかなり違う結末となっている。 古谷一行氏が金田一に扮する初期のドラマシリーズは未だに人気が高いと思うので、ファンなら機会があれば観て損は無いのではとお勧めしておきたい。 古谷一行氏が2022年8月23日に亡くなられた。 以前から病気を抱えながらも力強く演技されており、よくぞこれまでとの思いも強い。 彼の演じる金田一耕助は小説のそれに比べてやや快活さに富むが、それでも原作に最も近い人物像に仕上がっている事に違いはない。 2013年に鬼籍へ入った長門勇氏が演じるとぼけた岡山弁の日和警部(原作には居ない人物)、そして古谷氏の如何にも人懐っこいあの金田一耕助は、今後も変わらず自分の中に残り続ける事だろう。 PR |
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