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創作から興味ある事柄まで気まぐれに綴ります
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先日、ようやくエクソシスト3のブルーレイを入手したので感想を書いてみたいと思う。

いつもと同じく極力ネタバレはしない方針なのでご了承いただきたい。

以前、映画「エクソシスト」について書いたと思うが、このシリーズはこれまでに
4本制作されていて、今作は題名通りその3作目にあたる。

第一作目の原作・脚本・製作を手掛けたウィリアム・ピーター・ブラッティ
(以下WP・ブラッティ)が、「エクソシスト2」の出来に不満を持ち正統続編として監督したという。
(自著「レギオン」を元にしており、本来はエクソシストの続編としての製作は望んでいなかった様だが)

「エクソシスト
2」も「メデューサタッチ」と並ぶリチャード・バートンの怪演や、異国で行われる若き日のランカスター・メリン神父と悪魔の死闘など見るべき所は多いのだが、やはり前作の迫力や格調高さには及んでいなかった。

とはいえ「エクソシスト3」も監督が
WP・ブラッティという大きな違いがあるし、時代経過により映画作りのトレンドが変わっているので、第一作とただ同じ様な作品にはなっていない。

だが、舞台となるジョージタウンの土着的な描かれ方や溜めのある怖がらせ方には現実感を持った重みとそれを掻き乱す恐怖があり、第一作と根底を同じくする物だと確信させてくれる。
(WP・ブラッティの監督二作目とは思えぬクオリティーだったので、以前ビデオ版を見た時に驚いたのを覚えている)

古典的な怖さとサイコスリラー的な怖さを併せ持つこの映画だが、終番に入るとそれまでのジワジワ迫る演出からスピーディーでエンターテイメント性を持つ演出に変わるので初めて観る者は面食らうだろう。

そしてそこからラストまで怒涛の展開となるのだが、この辺は見る人によって評価が分かれるかも知れない。

そもそもエクソシストは続編的な展開はするべきでは無かったとの意見があるのも事実で、偉大な作品が出るとその人気にあて込んだ続編とそれに対する批判が出るのはいつの世も同じという事か。
 
「エクソシスト
3」は、初作と並ぶ或いは超えるという映画ではないかも知れないが、正統続編として色褪せぬ魅力に溢れており、あらためてWP・ブラッティが描く世界の独自性を思い知らされた次第である。

なお、日本で発売されているブルーレイ版は吹き替えも無いし特典は予告トレイラーくらいなので最低限の仕様という感じだが、肝心の画質は良好だったのでそこは安心した。


※本作を観る前に必ず「エクソシスト」一作目を観ておく事を強くお勧めする。
主要な登場人物や物語が深く繋がっているので、理解度や恐怖感に大きな違いが出てしまうためだ。


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今回は1977年公開の邦画『犬神の悪霊(たたり)』について少しだけ書いてみたいと思う。

日本版エクソシストだのオーメンだのという謳い文句に釣られてわざわざ
DVDを購入して観たこの作品だが、オカルト映画というよりも怪奇映画と呼ぶ方が相応しく、その意味では「祟り」とした題名通りの内容である。

主人公を含む若者三人が、部外者が踏み入る事を禁じた場所へ知らずに侵入した挙句に祠を壊すわ犬を跳ね殺すわをやらかし、その報いを受けるという非常に分かり易いストーリー。

ハリウッドの正統派ホラー映画はどこか乾いた感覚があって、それが逆に恐怖を醸し出すという感じだが、この映画は和製ホラーによくある湿り気をも超えて油ぎっている。

折角の怖さを娯楽性が打ち消している場面も多く、最後の攻防はセット丸出しの建物と照明の明るさが無ければもっと怖いシーンになっただろうと惜しく思った。

ただ、妙なギラつきと娯楽性を持った「祟り系怪奇映画」だと思えばなかなか面白い作品ではないだろうか。


今回は発売したばかりの「死霊伝説 完全版」のブルーレイをレビューしてみたいと思う。

これは「セーラムズ・ロット」の題名としても有名なゴシックホラーで、元はテレビシリーズだった物を映画として再編集した作品である。
(ちなみに完全版では無い方だと、重要人物の消息が分からないまま終わってしまう)

原作はスティーブン・キングの「呪われた町
セーラムズ・ロット」、監督は「悪魔のいけにえ」や「スペースバンパイア」などで知られるトビー・フーパー。

地味ではあるが、ホラー映画ファンから長年愛され続けて来た名作だ。

死霊~とは言っても吸血鬼が題材の映画で、かつてセーラムズ・ロットに住み今は小説家になった主人公が、新作を執筆する為に久し振りに故郷を訪れた所から物語が始まる。

元々が数十年前のテレビシリーズなので残酷描写等のどぎつい表現は無いに等しいし、物語の展開も今とは違ってかなりスローテンポだが、高解像化しても相変わらず恐ろしい特殊メイクや緊張感のある演出は実に見応えがある。

私は
DVDも持っているのだが、画面サイズは4:3のままながら画質はかなり向上していて、既存のファンでも映像面に不満を感じる事は無いだろう。

特典はトビー・フーパー監督による音声解説とオリジナル劇場予告編くらいだが、そのぶん値段もお得なのでこれは是非お薦めしたいブルーレイディスクである。


今回は絶賛上映中のシン・ゴジラについて、自分なりの感想を書いてみたいと思う。

なるべくネタバレは避けるつもりだが、この映画を観るつもりならば何の予備知識も無い状態でのぞむのがベストなので、鑑賞後に読まれる方が良いと予めお断りしておく。

さて、本来は簡単なあらすじを紹介しながら注目ポイントを個別に紹介するのがセオリーだろうが、今回はネタバレを避けたいのでそれはやめて、シン・ゴジラに興味を持つ人が気になっているであろう事について挙げてみたい。

○子供向け・恋愛・家族愛などの要素は皆無と言ってよく、ごく僅かに挿しこまれる感傷的な場面が鼻に付いてしまうほど。

○昔の怪獣映画にあった怪奇性と恐怖性を醸し出しているが、ゴジラという想定外の災厄に見舞われた日本政府の内幕を中心にポリティカルな視点で描いている。
国際社会における日本の安全保障上の立場にも一歩踏み込んでいるが、これについての監督の思想というか考え方が結構ストレートに盛り込まれているのが意外だった。

○当たり前と言えば当たり前なのだが、今回のゴジラも強い。
敢えて詳しくは触れないが、小さいお子さんにはトラウマを与えかねない場面もあるので注意が必要かも知れない。
それはただ凶暴というのではなく、神罰というか苦痛の解放というか、残酷だが哀しく美しいのである。

○本作のヒロイン(実際そんな存在は居ないのだが)ともいうべき
FBI所属の日系というキャラクターは噂通りであった。
ただ、製作陣の好みでああいう演出になったのだとしたら、役者さんを責めるのは酷であろう。
まぁ、ひと癖あるやり手にしては可愛いらし過ぎるとは思うが・・・。

2014年のハリウッド版ゴジラと比べてどうなのか気になる人も居るだろうが、これは観る人間の好みによって分かれる。
あちらは平成ガメラシリーズに酷似した設定の地球の調和を保つゴジラであり、シリーズ化に則した人間寄りの存在として描かれている。
一方、今回のゴジラは日本(ひいては世界)を滅ぼしかねない災厄的存在であり、当面は共存不可能な対象だ。
この決定的なスタンスの違いが両作品をまるで別物にしていて、見比べると非常に面白い。
全体のクオリティーは高いが無難の域を出ていないハリウッド版ゴジラに対し、邦画の限界が見え隠れしつつも作家性テンコ盛りのシン・ゴジラという感じだろうか。


シン・ゴジラは日本人向けに作られた怪獣映画といって差し支えないと思うし、そういう意味ではグローバルマーケット向きではない。

会議室を舞台に専門用語が飛び交うシーンの応酬が続く演出に耐えられる観客が海外にどれだけいるか考えると、かなり厳しいだろう。

CGについても、ここはもうちょっと頑張って欲しかったと思うシーンが少なからずある。

だが、往年の怪獣映画ファンはまだ邦画でもここまでやれるんだと希望を持ったろうし、観る者の心に棘を残し後から色々考えたり語り合ったりしたくなる様な素晴らしい映画であるのも間違いない。

庵野監督をはじめとする製作陣が、予算と時間が限られた中でこれだけの物を作り上げた事に今は敬意を表したい。

少なくともゴジラをはじめとする怪獣・特撮の映画ファンなら、猛暑の中でも映画館に足を運ぶ価値のある作品だ。

ぜひ大成功して日本の特撮映画を未来に繋げて欲しいと切に願う次第である。


ここ数ヶ月悩んだ末、『江戸川乱歩の美女シリーズ』のブルーレイボックスを購入した。

37000円という価格だけに躊躇もあったが、DVD版を集めるよりもかなりお得だし、何せ全25作品・ディスクにして13枚というボリュームだけに思い切って決断した次第だ。

各作品に対する感想は別の機会にするとして、今回は『江戸川乱歩の美女シリーズ』ブルーレイボックスの個人的な総評を書いてみたいと思う。

<画質について>

数十年前のテレビ作品である事や当時のフィルム保存状態を予測するに、例えブルーレイといえども過度な期待は禁物と考えていたが、はたしてその通りであった。

既に所有していた同シリーズのDVD版と比較してみたが、解像度自体は幾らか上昇しているものの、画質的には正直言って大きな違いは無い印象を受けた。

ただ、ブルーレイ版は画面サイズや比率が大きくなっているのに加えて色の濃さも上がっている様だし、当時テレビで観たままの雰囲気を醸し出しているとも言える。

<ボリュームについて>

これについては大満足。

1本あたりの実質時間は1時間20分ほどだが、流石に25作品ともなると大した量である。

<面白さについて>

このシリーズが好きだった往年のファンには堪らない面白さ。

第1作から19作目までは井上梅次監督が演出しており、連続で観ると作品に統一性が保たれているのが良く分かるし、ファンが一番面白いと感じるのもこの時期の物だろう。

20作目は今も2時間ドラマなどで演出を手掛ける村川透監督に変わるのだが、この「天使と悪魔の美女」も井上演出に劣らぬ出来映えを誇っている。

ここから25作目まで監督を点々と変えてシリーズを進めて行く事になるのだが、それにしても残念なのは文代を演じた五十嵐めぐみ・小林少年を演じた柏原貴の両名が前作をもって降板した事で、井上梅次監督と共にこれらの人達がシリーズを去ってしまったのはかなりの痛手だったと思う。

続く21・22・23作は個人的にイマイチの出来に終わったが、24・25作で有終の美を飾ったと言って良い所まで持ち直せたのは幸いであった。

ここまで明智小五郎を演じてみせた天知茂は54歳という若さで突然この世を去ってしまうのだが、最後の25作目でも弱った所が少しも感じられない名探偵ぶりであった。
 
猥雑さ・チープさ・枝葉部分の俗な演出などが逆に魅力になっている本作だが、通して観賞すると基本的には正統派としてキチンと作られているのだと感心させられた。

いま見ても十分に面白いどころか、当時より良く出来ていると感じられたのは何とも嬉しかった。

未見の人にお勧めして良いものかについては悩む所ではあるが(笑)。

<総評>

4万円近いお金を出した時には後悔するのを心配したが、今は買って良かったというのが素直な感想だ。

天知茂が演じる明智小五郎は時にユーモラスな仕草を交えつつもあくまでダンディーで凛々しいし、荒井注の波越警部や五十嵐めぐみの文代助手も原作とは全く違うのに愛着が湧いて仕方ない。

買いかどうかと聞かれれば、値段の高さは障壁となるものの、往年のファンなら買って損したと感じる事はまず無いだろう。

ただし、既に同シリーズのDVD版を多く持っている人の場合、ブルーレイ版だからといって大きなメリットは感じられない可能性があるので注意が必要である。




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